自動車保険の対人事故に示談代行制度が昭和49年に導入され、保険会社の社員が示談代行することについて日弁連との間で調整がなされました。
調整の結果、自動車保険の対人示談代行制度の合法性が確認されましたが、保険会社が示談代行するにあたって被害者の不満が生じた場合に備えて、中立かつ独立の第三者機関である「交通事故裁定委員会」が設立されました。
その後、昭和53年に「財団法人 交通事故紛争処理センター(以下センター)」に改組され現在に至っています。
センターは、東京をはじめ福岡等全国8ヶ所の支部と3ヶ所の相談室が設置されています。
保険会社等との交渉がうまく進まないときは、利用価値があります。
利用する場合は、電話で申込みますが、センターに提出する書類がそろってからでないと受け付けてくれません。書類の主なものは、経過診断書や診療報酬明細書、事故証明書等です。センターによって違いますが、受付の際、あっせん弁護士との相談日が決定します。事前にセンターから申し込み用紙や事故の概要を記入する用紙が送付され、面談の1週間前までに必要書類と一緒に送付しなくてはなりません。
指定された日程に、本人がセンターへ出向くことになります。
弁護士との面談時間は約1時間ですが、面談はその日1日で終わる場合もあります。
交渉内容によっては、2~3回は出向く必要がでてきます。出向かなくても電話で数回斡旋弁護士とやり取りをして解決することが多いみたいです。弁護士はセンターに常駐しているわけではなく、当番の日に出てきます。当番として出てきたタイミングでしかやり取りができず、ある程度時間を要します。
そして、1人の弁護士のあっせんで示談成立の場合もありますが、あっせんが不調に終わった場合は、審査に移行する選択肢があります。審査は3人の弁護士の対応となり、再度面談後、3人の弁護士の合議の上で、裁定案が出され、納得すれば示談成立となります。
もし、裁定案に納得しない場合は、訴訟に移行して解決を図るしかありません。
手間と時間はある程度かかりますが費用はかかりませんので弁護士費用特約等ついていない場合は、被害者にとってとても有効な手段です。